ポートフォリオ作成で注意すべき著作権と守秘義務の基礎知識

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著作権と守秘義務今までの自分の実績を載せるポートフォリオ。これはクリエイターの転職活動にとって、何よりも大切な自己PRのアイテムです。しかし、前職での実績をそのまま載せるのは、著作権や守秘義務に違反してしまうのではないかと心配に思う人もいるかもしれません。

確かに、ポートフォリオは一般に公開されない作品集としても、各作品には、著作権や守秘義務が付帯しています。後々のトラブルを引き起こさないようにするためにも、ポートフォリオを作成する際には、事前に著作権や守秘義務についてきちんと理解しておくことが大切です。

そこで今回は、この著作権と守秘義務についての基礎知識を学んでいきたいと思います。転職を成功させるための大事なノウハウとして確認しておきましょう。

著作権と守秘義務の基礎知識を知る

そもそも著作権と守秘義務とは、どのようなものなのでしょうか。

著作権とは

著作権とは、著作者が自身の著作物を、独占的に利用できる法的権利です。つまりこの権利によって、許可無く他人に利用されることがありません。知的財産権の1つであり、言語や音楽、建築などといった表現形式や著作物に対する権利となります。これは、形のあるものだけに限らず、振り付けやプログラムといった形の無いものでも著作権によって守られます。

知的財産権とは

知的財産権とは、人間の知的創造活動によって生み出される、表現、アイディア、技術など実体のないものを保護するために、その考案者に与えられる権利。「無体財産権」 とも呼ばれる。日本では著作権法や特許法、知的財産基本法などの法律によって保護されている。

IT用語辞典eWords参照(2015.11.1時点)

守秘義務とは

守秘義務とは、一定の職業に就いていた社員に対して、職務上知った秘密を守るべき法律上の義務のことを言います。作品を完成する過程の中で、決して外部には漏らしてはいけない機密情報(例えば、クライアント情報や個人情報)があると思いますが、ポートフォリオに作品を掲載することにおいて言えば、その作品自体が前職の企業の機密事項にあたるのかどうかといった点がポイントとなるでしょう。

機密事項は、秘密情報を公開したり、第三者に渡したりしないことを求めるNDA(秘密保持契約・機密保持契約)を通して、取引や交渉時に決められます。WebプロデューサーやWebディレクター、SE、営業の方であれば、新規クライアントと取引を行う時や新プロジェクトごとに取り交わしていたご経験があると思います。

機密情報(きみつじょうほう)とは

国家や企業などにとって、重要な秘密。ライバルや外部に知られると致命的となる情報。

はなてキーワード参照(2015.11.1時点)

前職で作った作品は誰のもの?

前職の作品の著作権といったものは、どの程度反映されるものなのか。

守秘義務に関しては、締結した契約内容から、その機密事項は明確です。では、作品の著作権に関してはどの程度反映されるものなのでしょうか。

著作権は、基本的に企業に帰属します。つまり、自分が作成した作品も、最終的にはその企業の権利のもとにあるということです。そのため、今までの作品をポートフォリオに掲載する際には、前提として「作品の著作権は、作った当時に勤めていた企業にある」ということを決して忘れてはいけません。

ただ、上記を踏まえた上で、作品自体が一人歩きをするようなことがないのであれば、ある程度は許容される、ということも事実です。ポートフォリオに前職の作品を載せたからといって、即、機密漏洩(ろうえい)になるということではありません。今まで自分がどのような作品をどのような過程で制作したのかを伝える程度であれば、まず問題はないと考えてよいでしょう。ただし、外部に漏れるようなことがないように、しっかりと管理や配慮をする必要があります。

つまり、「まずは、交わした守秘義務契約に違反しない」ことは大前提として、自身が携わった作品に関しては、管理を徹底した上でポートフォリオに反映することには構わないということです。

機密漏洩(きみつろうえい)とは

重要な秘密事項が外部に漏れ出ること。

Weblio辞書参照(2015.11.1時点)

Webポートフォリオ(ポートフォリオサイト)は管理を万全に

セキュリティ管理の徹底という視点から見ていきましょう。まず、紙のポートフォリオであれば、管理は個人の責任の範囲で行うことができるでしょう。しかし、Web上に掲載してしまうと、そのサイトを誰が見るかが分からないこともあり、管理が途端に難しくなってしまいます。

Webサイトに掲載している画像やデータを悪用されて、前職の企業に迷惑をかけてしまうことにならないようにするためにも、Webサイトの画像やデータを第三者が保存することができないように、ベーシック認証などのアクセス制御をかける対策は行うべきです。

Basic認証とは

Basic認証とは、Webサイトの閲覧に使うプロトコル「HTTP」が備える、最も基本的なユーザ認証方式。アクセスの制限されたWebページにアクセスしようとすると、Webブラウザでユーザ名とパスワードの入力を求め、サーバでアクセスを許可しているユーザに一致すると、ページを閲覧することができる。

IT用語辞典eWords参照(2015.11.1時点)

ただ、ベーシック認証に関しては、あくまで基本的で簡易的な認証方式であることを認識しておきましょう。全てのWebブラウザやWebサーバも対応していることから広く使用されていますが、ユーザ名、パスワードが、暗号化やハッシュ化がされていないプレーンなテキストで送受信されるため、盗聴や改ざんが簡単に行われてしまうという欠点を持ちます。作品の内容を、よりセキュアに管理するためには、ベーシック認証よりもダイジェスト認証(ユーザ名とパスワードをハッシュ化して送る)という方式を取ることも一つ考えられるでしょう。

引用を知る - 使用の許可取りについて

基本的に、一般に公開されている作品を掲載する場合は、その作品の出典元を明確に記載していれば、作品を掲載する際に許可を取る必要はありません。論文やレポートを書く際に、「引用の法則」がありますが、この法則に則って書く限り、著作権に抵触するということはありません。その作品の掲載に必然性があり、出典元をきちんと記載することで、引用の体裁となり得ます。もしどうしても不安な場合は、前職の企業に掲載の旨を伝えるというのも1つの方法です。特にWeb上に掲載をしたい場合は、必ず企業に許可をとるようにしましょう。企業の同意があればもちろん問題はありません。

著作権法第32条 - 引用

公表された著作物は自由に引用して利用することが出来る。ただし、それは公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならないとされる。

Wikipedia参照(2015.11.1時点)

掲載する際の配慮について

繰り返しになりますが、自分が作成した作品は、自分の責任で制作されたかもしれませんが、権利は企業に属しています。また、自分一人で作ったものではない場合は、共同制作をした人たちの存在もあります。ポートフォリオに掲載する場合は、どの企業での作品かという出典元を明記すると同時に、共同制作の場合は自分が主に担当した箇所も明記する配慮が必要です。

権利を重視する姿勢は印象としても大切

ポートフォリオ セキュア現実では著作権や守秘義務というものを無視した状態で作成されたポートフォリオも数多くあります。それが外部に流出したり、悪用されたりしない限りはトラブルが起きないでしょう。しかし、それがどれだけ一般的に公開されないものだったとしても、権利を軽視しているような姿勢は、転職時の採用担当者に悪い印象を与えることにならないとも限りません。

一方、権利などをあまり重視していないポートフォリオが多い中、きちんと出典元を記載し、権利に対して配慮しているWebディレクター、Webデザイナー、ゲームクリエイターは採用担当者から評価されます。実際にその応募企業で働くことになった時も、そのような制度や仕組みをきちんと守れるクリエイターだと思ってもらえるからです。これは、クリエイターである以前に社会人としての評価です。

実際に私たちマイナビクリエイターが取引をさせていただいている企業でも、そのような姿勢を評価する採用担当者が多いことは確かです。たかがポートフォリオと思わず、自分のデザイナーとしての姿勢をアピールするといった点でも、著作権や守秘義務に配慮することを心がけましょう。

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まとめ

ポートフォリオに作品を載せるのは、ある程度許容されていることであり、作品を掲載したことで著作権を訴えられるという可能性はほとんどありません。しかし、だからといって、著作権や守秘義務をいい加減にしてよいというわけではありません。

このことを決して念頭から離さず、ポートフォリオに掲載する場合は著作権や守秘義務にきちんと配慮していることを示すことを心がけるようにしましょう。そうした姿勢を見せることで応募先の企業によい印象を持ってもらえる可能性が高まります。

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