データサイエンティストはやめとけ?その理由と実態、活躍するための条件

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データサイエンティスト やめとけ?通信技術の発展や人工知能(AI)の台頭などにより、以前とは比べものにならないほど大量のデータ(ビッグデータ)を収集・管理できる世の中になってきました。そんな中、さまざまなデータを分析することでビジネスの問題を解決したり、新たな価値を創り出したりするデータサイエンティストという職業が注目されています。

しかし、データサイエンティストを目指そうとしている人が、周囲から「やめとけ」と止められることもあるようです。止められる理由は「大変」「忙しい」「きつい」「つまらない」「今後いらなくなる」などさまざまですが、データサイエンティストの実態はどうなっているのでしょうか。また、活躍できるデータサイエンティストになるには一体何が必要なのでしょうか。

この記事では、データサイエンティストになるのは「やめとけ」と言われる理由(デメリット)や、データサイエンティストになるメリット、未経験者がデータサイエンティストを目指すうえで知っておきたいことについて、詳しく解説します。

キャリアアドバイザー プロフィール

Y.Tsunoda

Y.Tsunoda

ゲーム業界からWeb・IT業界まで、幅広くクリエイティブ業界全般を担当。前職の接客経験で培った「親しみやすさ」を武器に、機械的なヒアリングではなく、親身になった相談で『常に転職希望者に寄り添い、5年後のキャリアまで一緒に想像し、伴走していく』ことを心がけている。

データサイエンティストは「やめとけ」と言われる4つの理由

データサイエンティストという職業に興味を持ち、ネットで情報を調べたり周囲の人に話を聞いたりすると、データサイエンティストは「やめとけ」という辛辣な意見にしばしば出くわします。本当にデータサイエンティストを目指すのはやめておいた方がいいのか、不安になってこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

データサイエンティストになるのは「やめとけ」と言われるのはなぜなのか、代表的な4つの理由を詳しく見ていきます。

1.責任が重大

責任が重大

データサイエンティストは企業の重要な意思決定に影響を与える仕事であるため、責任が重大です。データを分析するのがデータサイエンティストの主な仕事だと思っている方も多いかもしれませんが、実は、データサイエンティストが担う最も重要な役割は、解決すべき企業の課題を見つけ出し、さまざまなデータを使って解決していくことです。

データ分析によって意味のある結果を出し、作成した分析モデルを実際のビジネスに反映していくために、データサイエンティストは、社内外の関係者との折衝や、経営陣への提言なども行います。しかし、取り組みの重要性が関係組織に理解されず、思うようにデータが集まらなかったり、経営陣への提言が受け入れられなかったりすることもしばしばあります。

データサイエンスの担当者が社内で1人だけだったり、部署が新しく立ち上がったばかりだったりすると、相談できる相手もなかなかいません。成果へのプレッシャーを抱え込んで苦労した経験などが、「やめとけ」という声に繋がっているようです。

2.必要な知識やスキルが多い

必要な知識やスキルが多い

データサイエンティストには非常に幅広い知識やスキルが求められます。さらに、技術進歩のスピードが速いため、現役のデータサイエンティストも常に勉強し続け、知識をアップデートすることが求められます。この事実も、データサイエンティストは「やめとけ」と言われる理由の1つに繋がっているようです。

データサイエンティストになるためには、情報処理や人工知能(AI)、統計学といったデータサイエンス系の知識が欠かせません。それに加えて、データベースやデータ分析ツールを使うために必要なSQLやXML、PythonやRといったプログラミング言語、セキュリティ知識やデータ倫理、ロジカルシンキングやドキュメント作成、プレゼンテーションといったビジネスパーソンの必須スキルも求められます。さらに、自社の事業内容や市場環境を深く理解し、経営の視点を持って考えることが求められます。そのため、実際に第一線で活躍できるデータサイエンティストになるためには相当な努力を継続する覚悟が必要です。

また、データサイエンティストという職業に対する世間一般の理解がまだそれほど高くないため、当事者と周囲とのミスマッチが起こることも多いようです。たとえば、コミュニケーションは苦手だが分析スキルに自信があるからとデータサイエンティストになった人が、大勢の関係者との交渉や経営陣へのプレゼンテーションを求められて大変な思いをするケース。逆に、ビジネスの能力を生かしたいと思ってデータサイエンティストを目指した人が、周囲からは「データ分析屋さん」としか扱われず、力を十分に発揮できなくてつまらないと不満を抱くケースなどです。そのような状況で後悔している人は、データサイエンティストを目指す人に「やめとけ」と言いたくなるのかもしれません。

3.激務

激務

重要な経営判断にかかわるデータ分析を求められることも多いデータサイエンティストにとって、仕事は往々にして時間との戦いです。短期間に大量のデータと向き合うことが求められ、激務になりやすい傾向があります。

PCに向き合う時間が長く、目の疲れや肩こり・腰痛などに悩まされるのはIT関連のほかの仕事と同様です。それに加えて、データサイエンティストは常に答えのない問題と向き合うことが求められ、その成果が経営に与えるインパクトも大きいため、精神的なプレッシャーで疲弊してしまう人も多いようです。忙しい、精神的にもきつい、そんな状況が「やめとけ」という声に繋がっているのかもしれません。

4.AIに仕事が取って代わると言われている

AIに仕事が取って代わると言われている

AIがどんどん進化することで、データサイエンティストの仕事はいらなくなるのではないか、という声も上がっています。

確かに、ビッグデータの分析はAIの得意とするところです。指示されたとおりに大量のデータを操作したり、明確な目的に沿って分析プログラムを組んだりするのは、人間がやるよりもAIの方が速いでしょう。データ加工など定形化できる業務をAIが担うようになれば、それらの業務を主に担っていた技術者が稼げなくなる可能性はあるかもしれません。しかし、データサイエンティストに本来求められているのはAIにもできる定形業務ではなく、課題抽出や仮説立て、洞察や提案など、より人間的な能力が必要とされる業務です。

AIがあればデータサイエンティストはいらない、という声は、AIについてもデータサイエンティストの仕事についてもよく知らない人の意見だと思って聞き流しても問題ないでしょう。

デメリットをカバーする、データサイエンティストの魅力(メリット)とは?

ここまで、データサイエンティストは「やめとけ」と言われる4つの理由を詳しく見てきました。それぞれの理由はデータサイエンティストに特徴的なものもあれば、ほかの職業にも共通するようなものもあり、どれだけ深刻に受け止めるべきか悩むところではないでしょうか。

データサイエンティストを目指す人を引き止める声があるのは事実ですが、データサイエンティストという職業には非常に魅力があるのも事実です。ここからは、データサイエンティストになることのメリットについて解説していきます。

1.市場価値が高い

1つ目の魅力は、データサイエンティストは市場価値が非常に高いということです。

経済産業省の調査によると、データサイエンティストもその中に含まれる「先端IT人材」は、2030年に54.5万人も不足することが予測されています。また、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2022年に発表した、世界デジタル競争力ランキング2022によると、調査対象となった63の国・地域の中で日本は29位と、先進国の中で後れを取っています。国内のIT系企業では比較的データ活用が進んでいるものの、製造業やサービス業などでは、データ活用に取り組み始めたばかりの企業や、これから取り組む企業も多いのが現状です。

現在はあらゆる業種の企業がデータ活用に取り組みはじめており、データサイエンスに長けた人材は不足しています。そのため、スキルの高いデータサイエンティストは就職先の選択肢が広く、好待遇が期待できます。厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、データサイエンティストの平均年収は約558万円。全業種平均(約312万円)と比べて、かなり高くなっています。

データサイエンティスト 平均年収

データサイエンティストの採用では、学歴や職歴よりもむしろ「どのようなスキルがあって何ができるのか」という点が重視されるため、スキルを磨けば憧れの企業への転職や、大幅な年収アップも夢ではないかもしれません。

2.AIと協業ができる

AIと協業ができる

最先端のAIと協業できるのもデータサイエンティストの魅力です。

AIが進化するためには機械学習が必要で、機械学習をサポートする人材として、データサイエンティストが求められています。AIにどのようなデータを学習させ、どのようなアウトプットを出させたいのか。学習の結果AIが出した予測は正しいのかどうか、正解に近づけるにはどのようなアルゴリズムが必要なのか。データサイエンスの知識・スキルを身に付ければ、最先端のAIの進化に直接携わる可能性も開けてきます。

今のところAIが得意とするのはあくまでプロセスやアウトプットが明確で、再現性のある業務です。そのため、データサイエンティストの仕事にAIを活用する場合も、経営状況や市場の動向、企業の風土や一般常識など、さまざまな背景を理解したうえでの判断や、多角的な視点からの推察、柔軟な発想などは人間が担う必要があります。AIが進化すれば、時間のかかる作業はどんどんAIに任せて、データサイエンティストは、よりいっそう頭や感性を使うクリエイティブな業務や、ビジネスの現場の理解、関係者とのコミュニケーションなどに専念できるようになるでしょう。

AIの進化をサポートする技術や、最先端のAIを使いこなす技術は、データサイエンティストの仕事だけでなく、他分野でも必要とされるものです。今後AIの進化によって多くの仕事が失われると言われていますが、データサイエンティストにとってAIの進化は、活躍できる場を広げてくれるものかもしれません。

3.事業の根幹を動かせる

事業の根幹を動かせる

データサイエンティストの仕事は経営への影響力が大きく責任も重い一方で、やりがいも大きいものです。また、期待される役割が大きい分、ほかの職種では考えられないような裁量が与えられ、一般社員には手の届かない情報に触れたり、経営陣に対して直接提言したりする機会が得られることもあります。

現状、日本ではデータサイエンティストの人材が不足しているため、比較的若手でも責任の重いポジションに採用される可能性があります。そして、仕事をするうえでは、たとえ若手であっても経営視点を持って考え、行動することが求められます。簡単なことではありませんが、事業の根幹を動かす経験はほかの職種ではなかなか体験できるものではなく、その後どのようなキャリアに進んだとしても生きてくるでしょう。

キャリアアドバイザーが語る!データサイエンティストは未経験でもなれる?

データサイエンティストになるのは「やめとけ」と言われる理由や、その理由を上回るほどの魅力について解説してきました。データサイエンティストという職業は、大変な面もある一方で、将来性もやりがいも大きい仕事だと言えそうです。

そんなデータサイエンティストですが、未経験からでも目指すことは可能です。ただし、データサイエンティストの求人に応募するためには、少なくとも情報処理や統計学といったデータサイエンス系の知識・スキル、ビッグデータに関する知見が欠かせません。

マーケティングアナリストやWebアナリストの経験があるなど、何かしらデータを分析して意思決定をした実績のある人は、その経験を生かしながら、機械学習やデータエンジニアリングについても学んでいくとよいでしょう。データ分析をもとにした経営判断や、データを活用したプロジェクトのマネジメントなどに関わった経験は、転職の際の強みになります。

データサイエンティストに必要な幅広い知識・スキルを学ぶには相当の勉強量が必要になるため、まったくゼロの状態から目指す場合にはそれなりの覚悟が必要です。まずはオンライン講座や書籍で統計学や情報処理の基礎を学びながら、データサイエンスの仕事を好きになれそうか、自分がデータサイエンティストに向いていそうか、じっくり考えて決めることをおすすめします。

将来的に活躍できるデータサイエンティストになるために意識したいこと

もしあなたがデータサイエンティストへの転職に成功したとしても、それがゴールではありません。企業から必要とされ続けるためには、専門知識プラスアルファの要素が必要です。ここからは、将来にわたって活躍できるデータサイエンティストになるために意識したいポイントを3つご紹介します。

解決したい課題から逆算する

データサイエンティストになるためにはデータサイエンスの知識があり、データベースや分析ツールを使いこなしてさまざまなデータを分析できるスキルが必要です。しかしどれだけ分析スキルに長けていたとしても、それだけではデータサイエンティストとして独り立ちすることはできません。

データサイエンティストの役割は、企業が今持っているデータから現状を分析することがメインではなく、企業が直面している課題を解決するためにデータを活用することです。課題の解決のために必要なことであれば、新たにデータを取得するための仕組みを設計する、社外からデータを入手するために交渉する、現場調査に出向く、関係者にヒアリングをする、説得力のあるプレゼンテーションをするなど、データ分析以外の取り組みも重要になります。

あくまでもデータ分析は手段であることを忘れずに、解決したい課題から逆算して、何をするべきかを考えるくせをつけましょう。そして、データサイエンス以外のビジネススキルも磨き、課題解決の能力を高めていくことを意識してみてください。

英語を学んで世界に目を向ける

データサイエンスやデータエンジニアリングに関する最新情報の多くは、まず英語で発信されます。英語の論文を読み解く力があれば、最新の学術研究の成果を自分の仕事に取り入れて、ライバルに差をつけることもできるでしょう。また、Kaggle(カグル)などデータサイエンティストのコミュニティに参加して、世界中のデータサイエンティストと情報交換したり、海外の企業や行政機関が出題するコンペに参加したりして、切磋琢磨することもできます。

データサイエンティストの人材は、世界中で不足しています。そして、PCとインターネットさえあれば、比較的場所や時間を選ばずにできる仕事でもあります。もし、海外の企業で働けるだけの語学力を身に付けることができたら、将来的な仕事の選択肢はさらに大きく広がっていくのです。

トレンドに乗る

データサイエンスの分野は急速に技術革新が進んでおり、アルゴリズムや分析ツールに関する情報が毎日のようにアップデートされています。つねに最新の情報をキャッチアップし、仕事に取り入れていくことを心がけましょう。

データサイエンティストをとりまく環境は、技術分野だけでなく社会の状況によっても変化します。情報セキュリティ関連の法律や規制、データガバナンスに関する各国の動き、日本・世界の経済や国際情勢にも影響されます。

たとえば、新型コロナウイルス感染症の感染拡大シミュレーションや、ワクチン接種効果の予測などにはデータサイエンスが生かされていました。データサイエンティストが活躍できるフィールドは、企業のマーケティング分野などはもちろんのこと生産部門や管理部門、政府などの公共機関、医療の分野、学術の世界など多岐にわたります。広い視野を持って情報を集め、トレンドの波をつかんで活躍のチャンスを広げていきましょう。

データサイエンティストは「やめとけ」と言われる職種ではない

データサイエンティストは新しい職業なので、その実態はあまり知られていません。身近に経験者がいないために具体的な仕事内容が想像できず、何をしているのかわからない、なんだか胡散臭い仕事のように誤解されてしまうこともあるようです。

しかし、スマートフォンや各種センサーの普及でさまざまなデータの取得が可能になり、ビッグデータ活用が企業の死活問題となりつつある今、データサイエンティストは社会に欠かすことができない重要な職業となっています。期待される役割が大きいために大変な面があることは否定できませんが、それを補って余りあるメリットが期待できる、将来性の高い仕事であることは間違いないでしょう。

データサイエンティストの仕事や、データサイエンティストになる方法について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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