クリエイターとは?業界別に見る種類と、今後の需要などを解説

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クリエイターとはクリエイターとは何をする人か、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?Webクリエイターやゲームクリエイターなど、「〇〇クリエイター」という肩書きのつく仕事は世の中に多数ありますが、具体的にどんな仕事をする人なのか、クリエイターになるためには何が必要なのか、説明できる人はそれほど多くないかもしれません。

この記事では、クリエイターとは何なのか知りたい人や、これからクリエイターを目指したい人に向けて、クリエイターの定義や仕事の種類、具体的な仕事内容、クリエイターを目指すうえで知っておきたいことなどについて解説していきます。

クリエイターとは?簡単に解説

クリエイター(creator)とは、辞書的な定義でいうと「クリエート(create)する人」です。つまり、創造する人、何かを創り出す人のことを指します。

形のある材料を使ってモノを作るクリエイターもいれば、形のないアイデアをゼロから生み出すクリエイターもいます。映像を作る人なら「映像クリエイター」、音楽や効果音を作る人なら「サウンドクリエイター」というように、作るものに応じて肩書きが変わってきます。

また、プロデューサーやプランナー、デザイナーやライター、プログラマー、ディレクターなども、何かを創り出す仕事という意味ではクリエイターの仲間と言えるでしょう。

クリエイターとアーティストの違い

クリエイターとアーティストとの最も大きな違いは、クリエイターが「何らかの目的を達成する手段としてモノやコトを創造する」のに対し、アーティストは「創造すること自体が目的」になり得るという点です

アーティスト(artist)は直訳すると「芸術家」という意味で、主に美術や音楽、文学、演劇などの芸術作品を創り出す人のことを指します。ただし、日本のカタカナ言葉としての「アーティスト」はもう少し広い意味で、芸術作品に限らず、何かの作品を作ったりパフォーマンスをしたりする人全般が含まれます。

具体的な例でいうと、たとえばミュージックビデオを作る映像クリエイターは、楽曲のプロモーションという目的のために、企業などから依頼を受けて映像作品を作ります。そして、プロモーションの成果はミュージックビデオの再生数や楽曲の販売数などで評価されます。

それに対して、映像を表現手段とするアーティストであれば、作品を作る動機はアーティスト自身の内にあり、作品を世の中に出すこと自体が制作の目的になります。そして、その作品をどのように受け取るかは受け手に委ねられます。

もちろん、アーティストが企業などから依頼を受けて制作する場合もあれば、クリエイターが自分自身の作品を発表する場合もあるので、アーティストとクリエイターの境は明確に分けられるものではありません。しかし、一般的には「依頼を受け、あらかじめ決められた予算とスケジュールに沿って制作する人」がクリエイターで、「自発的に作品を作る人」がアーティストと考えてよいでしょう。

業界の括りがすべてではない

クリエイターの職種と、そのクリエイターが活躍する業界は、必ずしも1対1で対応しているわけではありません。たとえば、Webデザイナーが働く場所はWeb制作会社だけとは限りません。ゲーム会社や、オンラインサービスを提供している事業会社、メーカーの広報部門などに所属する場合もあります。また、UIデザイナーが活躍する場もWeb業界だけとは限らず、ゲームのUIデザイン、家電の操作パネルのUIデザインといった仕事もあります。

この記事では、「Web/IT業界」「ゲーム業界」に分けてクリエイター職種の仕事内容を紹介しますが、実際にクリエイター職を目指す場合は、業界にとらわれずに広く求人をチェックしてみるとよいでしょう。その方が、より多くのチャンスの中から、自分のキャリアプランに合いそうなものを探すことができます。

Web/IT業界でよくみられるクリエイター職種の仕事内容

Web/IT業界 クリエイター 職種

ここからは、さまざまなクリエイター職種の具体的な仕事内容を、業界別にご紹介していきます。まずは、デジタル系のクリエイターが活躍する代表的な業界であるWeb/IT業界です。

なお、Web業界に含まれるのはWeb制作会社、Webを専門とする広告代理店、各種Webサービスを提供する企業などです。また、IT業界には、ソフトウェアやハードウェアの情報処理サービス(SI)、通信インフラを提供する企業などが含まれます。それでは、主な職種について詳しく見ていきましょう。

Webプロデューサー

Webプロデューサーとは通常、Webサイトの事業責任を負う役割の人を指します。新たにWebサイトを立ち上げる際は、事前のマーケティングやコンセプト設計、収益・予算・人員計画の立案、プロモーション戦略の立案など、運用フェーズにあるWebサイトであれば、年間予算の策定や資金調達、運用方針の決定などを担当します。

所属する企業の種類(Web制作会社、広告代理店、事業会社など)によって役割は少しずつ違いますが、一般的にWebプロデューサーは「企画・統括」といった、Web制作における上流の工程を担います。そのため、Web制作だけでなくビジネス全般への幅広い知見、マネジメント力やコミュニケーションスキルが求められます。Webプロデューサーの平均年収は、482万円※1です。

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Webディレクター

Webディレクターは、Webサイトの構築・運用において、企画設計や制作進行、管理・運用など幅広い役割を持つ重要なポジションです。Webプロデューサーと同様、所属する企業によって役割は少しずつ異なりますが、一般的にWebディレクターは「現場監督」というポジションに例えられます。Webプロデューサーが戦略立案などの上流工程を担当するのに対して、Webディレクターは制作実務を遂行するための管理や、各関係者の調整など「現場」の仕事をスムーズに回すために欠かせない役割を担います。

Webディレクターは、制作全般に関する技術的なノウハウや、高いコミュニケーション能力が求められます。Webディレクターの平均年収は約443万円※1です。

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Webデザイナー

Webデザイナーとは、Webサイトのデザイン・制作を行う職種です。Webサイトの目的にかなうデザイン設計をするために、Webサイト上のレイアウト、フォントの選定、配色などに関するスキルや経験が求められます。

Webデザイナーの年収は持っているスキルや知識、業務範囲などで異なりますが、デザイン、コーディングといった「デザイン領域」のスキルを持っているケースでおよそ386万円※1です。

Webプログラマー

Webプログラマーとは、システムエンジニアやWebディレクターがまとめた要件定義や仕様にもとづいて、Webサービス・システムの開発・運用を行う職種です。ユーザーが直接操作する部分を主に担当するWebプログラマーは「フロントエンドエンジニア」、サーバーなどシステムの裏側を担当する場合は「バックエンドエンジニア(サーバーエンジニア)」と呼ばれます。また、システム開発のすべてを行うWebプログラマーは「フルスタックエンジニア」と呼ばれます。

Webプログラマーには、プログラミング言語をはじめ、Web制作全般に関する専門的な知識が求められます。Webプログラマーの平均年収は、447万円※1です。

Webマーケター

Webマーケターとは、自社サイトをはじめ、オウンドメディア、SNS、メールマガジン、チャットなど、オンラインチャネルを活用して行われるマーケティング活動全般を担当する職業です。ターゲットの選定やマーケティング戦略の立案といった企画プロセスから、施策の実行や効果測定といった運用プロセスなどを幅広く担うため、Web全般に関する知識、とくにSEOやWeb広告、SNS、各種マーケティングツールを使いこなすスキルなどが求められます。

Webマーケターの平均年収は、505万円※1です。

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Webライター

Webライターとは、クライアントからの依頼を受け、Webサイト上に掲載される記事を書く人のことを指します。Web上で多くの人に読んでもらえる文章を書くためには、文章力だけでなく、Webならではの知識も求められます。Googleの検索結果で記事コンテンツを上位に表示させるための書き方や、読者にクリックしてもらいやすいタイトルのつけ方(SEOライティング)、商品購入や会員登録などWebサイトのコンバージョンにつなげやすい文章の書き方や、SNSでシェアされやすい記事の作り方など、Webに適したライティングのスキルが必要です。

Webライターの平均年収は436万円※1です。

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映像クリエイター

映像クリエイターとはさまざまな場面で使用される映像を作る仕事の総称ですが、Web/IT業界では、とくにYouTubeなどの動画共有サイトに掲載する動画や、企業Webサイトなどに掲載する動画、広告動画などを作る仕事がメインです。映像制作の仕事は非常に幅広く、企画立案、シナリオライティング、撮影、照明、CG制作、動画編集、音声編集、進行管理など、さまざまな専門分野に分かれています。その中で、とくにWeb用の動画は、企画から撮影、編集までを一人で行うなど小規模の体制で制作されることも多いため、映像制作に関する幅広い知識・スキルが求められます。

映像クリエイターの年収は仕事内容や経験によって異なりますが、例を挙げると「動画編集者」の平均年収は、579.8万円※2です。

UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーとは、Webサイトやアプリケーションの見た目や使い勝手、使用体験を設計する仕事です。UIとはユーザーインターフェイス(User Interface)つまりユーザーとの接点のことで、多くの場合は、コンピューターのOSやアプリケーション、Webサイトなどの画面設計(見た目や操作性)を指します。また、UXとはユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略で、ユーザーがある製品やサービスを利用することで得られる体験全般を指します。

UI/UXデザイナーには、デザインスキルだけでなく、マーケティング、認知工学、人間工学などの知識も求められます。UI/UXデザイナーの年収はクリエイター職種の中では比較的高く、平均482万円※1です。

※1 マイナビクリエイター調べ 2023年7月
※2 厚生労働省 職業情報提供サイトjobtagより

ゲーム業界でよくみられるクリエイター職種の仕事内容

ゲーム業界 クリエイター 職種

次に、ゲーム業界でよく見られるクリエイター職種について、それぞれの役割や主な仕事内容、年収などをご紹介します。

ゲームプロデューサー

ゲームプロデューサーとは、ゲームの「企画・プロジェクト」における総責任者です。ゲームディレクターが制作において現場管理を中心に行うのに対し、ゲームプロデューサーは、予算確保やスタッフの人選、クオリティコントロールといったマネジメント業務をはじめ、ゲームを1人でも多くの人に楽しんでもらうためのあらゆる仕事を請け負います。プロモーションなど対外的でも中心的な役割を担うため、高いコミュニケーション能力やビジネスセンスが必要とされます。プロジェクト成功のための責任は非常に重い一方で、やりがいのある仕事としてゲーム系のクリエイターにとって憧れの職種とも言われています。

ゲームプロデューサーの平均年収は、520万円※1です。

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ゲームディレクター

ゲームディレクターは、ゲーム開発現場を束ねる総監督であり、制作チームのかじ取りをする役割です。具体的には、スタッフを統括しながら進捗管理、デバッグ管理などを行い、納期と予算を守って高い品質のゲームを完成させます。対外的な総責任者であるプロデューサーと並んで、ゲーム開発チームのリーダーとも言える存在です。ゲームディレクターには、企画力や提案力、コミュニケーション能力、調整能力、協調性が求められます。モノづくりが好きで、リーダーとして周囲を引っ張るタイプの人におすすめの職種です。

ゲームディレクターの年収は一般財団法人デジタルコンテンツ協会がまとめた「デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究委員会報告書(平成21年度版)」によると、平均で約564万円です。ただし、年齢(経験)や持っているスキルによっても年収は異なり、たとえば、マイナビクリエイターを利用して転職に成功されたゲームディレクターの平均年収は、およそ482万円※1となります。

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ゲームプランナー

ゲームプランナー とは、「ゲームを企画する人」を指します。会社や業界によっては「ゲーム企画」「ゲームクリエイター」などと呼ばれることもあります。ゲームプランナーは主にゲームの企画設計を担当し、ゲームの世界観やシステム、画面の遷移やレイアウトなど、ゲームの設計図ともいえる「仕様書」を作るのが重要な仕事です。また、制作においてはゲームプランナーが制作進行を担い、クオリティチェックや効果測定、改善なども担当します。

ゲームプランナーの平均年収はおよそ399万円※1です。

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ゲームプログラマー

ゲームプログラマーとは、ゲームプロデューサーや、ゲームディレクターゲームプランナー 、UIデザイナーなどが構想したゲームの企画や構成・演出を、実際に動くよう開発言語を用いてプログラミングする仕事です。また、ゲームの完成前にはバグ取り(デバッグ)の仕事も担当。CやC++などのプログラミング言語のほか、Unreal Engineなどのゲームエンジンを使いこなすスキルも求められます。

ゲームプログラマーの仕事では「正確さ」と「速さ」、そしてバグを残さない「責任感」が強みになります。ゲームプログラマーの平均年収は454万円※1です。

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ゲームシナリオライター

ゲームシナリオライターは、ゲームプロデューサーやディレクター、プランナーが考えたゲームの世界観や設定を、具体的なストーリーに作りこむ仕事です。ゲーム冒頭や途中に入るムービーの脚本や、メインストーリーとその中で起こるイベント、分岐によって発生するサブストーリー、ゲーム中の登場人物のセリフなどを具体化し、破綻なく魅力的な物語にまとめ上げます。

ゲームシナリオライターには文章力のほか、構成力や発想力が求められます。ゲームシナリオライターの平均年収は378万円※1です。

サウンドクリエイター

サウンドクリエイターは、ゲームを演出する音楽やSE(効果音)などを作る仕事です。ゲームの音は、ゲームの世界観を印象付け、プレイヤーを盛り上げる重要な要素です。サウンドクリエイターは、ゲームプランナーやシナリオライターが具体化したゲームの仕様やストーリーをもとに、主にパソコン上でサウンドを作ります(DTM)。自分で作曲するほか、作曲家の作った楽曲を編曲したり、音源の収録に立ち会ったりすることもあります。

サウンドクリエイターには、作曲やDTMのスキルはもちろん、ゲームの世界観をチームで作り上げていくためのコミュニケーション能力や協調性も求められます。サウンドクリエイターの平均年収は431万円※1です。

2DCGデザイナー

2DCGデザイナーとは一般的に、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorなどの描画ソフトウェアを使って平面の絵を描くデザイナーの事を指します。ゲーム制作において2DCGデザイナーは、ゲームの仕様書をもとにキャラクターや背景のグラフィックを作成するほか、各種エフェクト、ゲームのUI、また、バナー広告などプロモーション用のグラフィックを制作する場合もあります。

2DCGデザイナーには、描画能力やデザインスキル、グラフィックソフトを使いこなすスキルなどが求められます。2DCGデザイナーの平均年収は407万円※1です。

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3DCGデザイナー

3DCGデザイナーは、3Dグラフィックスを駆使して、あらゆるデザインをする人です。ゲーム制作においては、キャラクターや背景といった形状を作成する「モデラー」、キャラクターに動きをつける「アニメーター(モーションデザイナー)」、エフェクトや照明効果をつける「テクスチャアーティスト」など、制作工程ごとに役割を持ち、それらを組みわせることで3Dグラフィックスの表現を作りあげていきます。

3DCGデザイナーには、2Dのイラストを3Dにモデリングするためのデッサン力や、リアルな動きをつけるための観察力、3Dグラフィックソフトを使いこなすスキルが求められます。ゲーム業界の3DCGデザイナーの年収は年齢や仕事内容によって変わりますが、平均しておよそ414万円※1です。

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イラストレーター

イラストレーターとはイラストを描く仕事をする人全般を指しますが、その中でもゲームを専門とする人はゲームイラストレーターとも呼ばれます。ゲームイラストレーターの仕事は、ゲームプランナーやアートディレクターの指示のもと、キャラクターや背景のイラストを描くことです。ゲームイラストレーターになるためには、デッサン力や色彩の知識、デザインスキルといった基本的な造形スキルのほか、2Dや3Dのグラフィックソフトを使うスキルも必要です。

イラストレーターの年収は、イラストの種類や経験によっても大きく変わりますが、一般的なイラストレーターの平均年収は525万円、ゲームイラストレーターの平均年収は559万円※1です。

※1 マイナビクリエイター調べ 2023年7月

求人票から見るクリエイター職種の需要

ここまで、さまざまなクリエイター職種について解説してきました。ここからは、クリエイターを目指す方に役立つ情報をお届けしていきます。

近年における求人の動向

コロナ禍の巣ごもり消費によるゲーム需要の高まりや、スマートフォンの普及による一般消費者向けのWebサービス増加などを受けて、クリエイター人材の需要は増加傾向が続いています。とくに、2DCGデザイナーや3DCGデザイナー、ゲームプログラマー、UI/UXデザイナーなどは、企業側の需要が高く、人材の供給が常に足りていない状況です。

求職者側の動向

リモートワークが一般的になったことで、自宅からフルリモートでできる仕事として、デザイナーやプログラマーとしての就職や転職を希望する人が増えています。ただし注意しなければならないのは、基本的な制作スキルを持った人材は市場にある程度充足しており、企業が求めているのは、より高いビジネス能力を持った人材だということです。

具体的には、目の前の課題に対してロジカルに考え、クリエイティブスキルを用いて問題解決ができる人材です。また、ゲーム業界ではメタバースなど新しい領域において、ゼロから1を創り出す発想や行動力を持った人が求められています。

もし、未経験の状態からクリエイティブ職への転職を目指すのであれば、異なる分野でのキャリアを生かしやすいディレクター職がおすすめです。とくに、無形のサービスをゼロから作り上げた経験や、営業・マーケティングなどの経験がある人、プロジェクトマネジメントの経験がある人などは親和性が高いと言えるでしょう。

クリエイターに向いている人の3つの特徴

クリエイターに向いている人 特徴

ここまで紹介してきたさまざまなクリエイター職種について、職種ごとに求められる専門知識やスキルはそれぞれ異なるものの、活躍するクリエイターとしては共通している点がありそうです。

ここでは、クリエイターに向いている人の特徴について解説します。

ロジカルシンキングが身に付いている

クリエイティブ職にとってクリエイティブのスキルはあって当たり前。それに加えて、ロジカルシンキングも身に付いている人は現場で重宝されます。

ロジカルシンキングは、ユーザーやクライアントのニーズを的確にくみ取り、クリエイティブに反映するために必要な能力です。また、自分の制作したクリエイティブについて、なぜこのような配色や設計なのか根拠やデータにもとづいて説明し、合意形成をして仕事を先に進めるためにも役立ちます。

チームで仕事をするうえでは、相手の話を正しく理解するとともに、自分の考えをわかりやすく効果的に伝えることができる、コミュニケーション能力が大切です。採用面接の際にも、論理的に考え、伝えることができる人材かどうかを見られています。日頃からロジカルシンキングができる人は、クリエイターに向いているでしょう。

好奇心旺盛で勉強が苦にならない

最新の情報や技術をキャッチアップできることも、活躍するクリエイターに欠かせない条件です。

クリエイティブのトレンドや、メディア環境は目まぐるしく変化し続け、クリエイターの仕事に欠かせないハードウェアやソフトウェアも進化していきます。昔学んだ技術やノウハウだけを頼りに仕事をしていると、やがて最前線の仕事には関われなくなり、活躍の幅が狭まってしまうのです。

クリエイターとして活躍し続けるためには、常に最新情報に触れ、新しい技術を勉強し続けることが求められます。つまり好奇心旺盛で勉強が苦にならない人は、その時点でクリエイターに向いていると言えるでしょう。

職種という肩書きにこだわらない

クリエイターは近年、職種による区分が難しくなってきていると言われています。そのため、「自分がなりたいのはこの職種」「自分の専門分野はここからここまで」と区切ってしまうと、希望にかなう求人が見つからない、就職後にミスマッチが起こるなど、自分の可能性を狭めてしまう場合があります。活躍の場を広げるためには、職種の枠に縛られずにキャリアを考えることが大切です。

記事の前段でも触れたとおり、制作やマーケティング領域など、クリエイターに求められる役割は非常に幅広く、たとえば、同じ「Webディレクター」という肩書きでも、実際の業務内容は企業によって大きく異なります。職種という肩書きにこだわらず、関心のある分野の周辺までアンテナを張り、関連するあらゆることにチャレンジできる人は、クリエイターに向いているでしょう。

クリエイター職種に共通して活用できる資格

次に、ゲーム業界、Web/IT業界どちらのクリエイターにも共通して活用できる資格をご紹介します。なりたい職種がまだ明確に決まっていない、クリエイターを目指すかどうか迷っている、という方は、学びの第一歩として、ここで紹介する一般的な資格の勉強から始めてみてはいかがでしょうか。

もちろん、目指したい職種が決まっている人は、たとえばゲームプログラマーならUnreal EngineやC言語など、実際に業務で必要となる技術の勉強をするのが近道です。また、クリエイター職種への就職は、持っている資格の種類や数よりも実績の方が重視されるため、現在の仕事で実績を積める環境がある場合は、その仕事にプラスとなるような勉強をするのがよいでしょう。

クリエイティブ関連の資格

センスのよい配色をマスターする近道は、色彩の理論や技法を体系的に学ぶことです。デザイナーやイラストレーターに配色の知識は欠かせませんし、それ以外の仕事でも、ディレクターやプランナーなど制作物の品質をチェックする立場にあれば「この配色はなぜよい/悪いのか」「どのような理由で、どう直すべきなのか」といった評価や指示をする場面があります。根拠を持って、相手を納得させる説明をするために、色彩の知識が役に立つでしょう。

  • カラーコーディネーター検定


    カラーコーディネーター検定 カラーコーディネーター検定試験®とは東京商工会議所が実施している民間の検定試験です。スタンダードクラスとアドバンスクラスの2種類があり、公式テキストではビジネスシーンやプライベートにおける具体的な事例を通じて、色の性質・特性など、色彩の知識を身に付けることができます。色彩検定と比べると、幅広い実務者向けの試験と言われています。
    試験は自宅のPCなどを利用しオンラインで受験するIBT方式と、試験会場のPCで受験するCBT方式で、年2回実施されています。
  • 色彩検定


    色彩検定 色彩検定とは、色彩検定協会が実施している文部科学省後援の検定試験です。初学者向けの3級から、プロフェッショナル向けの1級まであり、2018年からは色のユニバーサルデザインに特化した「UC級」も開設されました。検定に必要な知識は公式テキストや過去問題集で学ぶことができます。色彩検定の3級はカラーコーディネーター検定のアドバンスクラスより易しく、ゼロから勉強を始める方にはおすすめです。
    試験は年に2回、全国の公開会場においてマークシート式で行われます。ただし、1級のみはマークシート式の1次試験と、記述式の2次試験があります。

ネットリテラシー関連の資格

WebやIT、ゲームの世界でクリエイターとして仕事をするなら、職種にかかわらず、ネットリテラシーやITリテラシーが不可欠です。ここでは、IT関連の資格に初挑戦する方におすすめの2つの資格をご紹介します。

  • ITパスポート試験


    ITパスポート ITパスポート試験とは、高度情報化社会を担う情報処理技術者の育成に向けて経済産業省が実施する国家資格の認定試験で、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営しています。ITの専門職というよりも、業務にITを活用したいすべての職種を対象に基礎知識が問われる試験で、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の各分野から出題されます。
    試験会場は全国にあり、CBT方式で随時実施されています。戦略的にITを活用することが求められるディレクター職などに特におすすめの試験です。
  • ネットリテラシー検定


    ネットリテラシー検定 ネットリテラシー検定とは、一般社団法人ネットリテラシー検定機構が実施する、個人のネットリテラシー能力を測定する試験です。従業員のネットリテラシー欠如による企業リスクに対応することを目的とした検定システムで、「情報セキュリティ」「マナーと倫理」「法制度(刑事)」「法制度(民事)」「知的財産」の5分野から出題されます。
    試験は全国の会場にて、CBT方式で毎月実施されています。プロデューサー職やマーケティング職種など、対外的な情報発信やユーザーコミュニティー運営に関わる職種、知財管理に関わる職種に特におすすめです。

Adobeツール関連の資格

デザインツールにはさまざまな種類がありますが、プロフェッショナル向けツールのスタンダードといえばAdobe製品です。中でも、グラフィックツールのIllustratorと、画像編集ツールのPhotoshopを使いこなすスキルは、デザイナーにとって必須と言ってもよいでしょう。

ツールの使い方を体系的に学ぶために認定合格を目標にする、あるいはすでに実務を通して身に付けたスキルを認定で客観的に証明するなど、クリエイターのキャリア形成に生かせる認定試験をご紹介します。

  • Illustrator®クリエイター能力認定試験


    Illustratorクリエイター能力認定試験 Illustrator®クリエイター能力認定試験は、株式会社サーティファイが実施する民間の認定試験です。Illustrator®を使用して実際にDTPやデザインパーツの制作、指示に従った作品の制作などを行う実践的な問題を通じて、ツールの操作スキルと問題解決能力を測定します。「スタンダード」と「エキスパート」の2級種があり、「エキスパート」では実技だけでなく知識問題も出題されます。
    試験は全国の会場で随時実施されています。
  • Photoshop®クリエイター能力認定試験


    Photoshopクリエイター能力認定試験 Photoshop®クリエイター能力認定試験は、Illustrator®クリエイター能力認定試験と同様に株式会社サーティファイが実施する民間の認定試験です。指示に従って時間内に新規グラフィック作品を制作するなどの問題を通じて、ツールの操作スキルと問題解決能力を測定します。こちらも「スタンダード」と「エキスパート」の2級種があり、「エキスパート」では実技だけでなく知識問題も出題されます。
    試験は全国の会場で随時実施されています。

クリエイターに関してよくある質問

最後に、クリエイター職種への転職を目指す求職者からマイナビクリエイターがよく受ける質問と、キャリアアドバイザーからの回答をご紹介します。

Q.1絵が上手いなどの美的センスがないとクリエイターにはなれないのでしょうか?

絵を描く技術や美的センスが必須かどうかは、どのような職種を目指すかで変わります。デザイナーやイラストレーターを目指すなら美的センスは必要ですし、デッサン力などの基礎的な技術も求められます。しかし、中には美術大学やデザイン専門学校などで専門教育を受けていなくても、デザイナーとして活躍している人はいます。独学であっても、仕事での実績、作品の受賞歴、SNSなどでの作品発表実績やフォロワー数など具体的な実績や数字があれば、転職の際のアピールポイントになるでしょう。

また、クリエイターは絵を描く仕事だけではありません。Webやゲームの制作プロジェクトは、多数のクリエイターが連携しながら質の高いクリエイティブを創り出します。たとえば、ディレクターにはクリエイティブ能力よりもむしろ、調整力や提案力、コミュニケーション能力といった実務能力が求められます。どのような職種なら自分の強みを生かせそうか、この記事を参考に考えてみてください。

Q.2クリエイターにとっておすすめのPCはMacとWindowsどちらでしょうか?

クリエイティブ業界、とくにデザイナーなどビジュアルの制作を主に行う仕事ではMacユーザーが主流です。ただし、業務で使用する機器は通常会社から支給されるため、会社全体でWindowsマシンを中心に使用しているという場合もあります。

なお、Web業界もゲーム業界も、制作をMacで行ったとしても動作確認には必ずWindowsマシンも使用します。そのため、両方のOSについて理解し、使い慣れているに越したことはないでしょう。

Q.3今後クリエイター職はAIに取って代わられてしまうのでしょうか?

クリエイターの仕事に生成AIが導入されると、画像修正やドキュメント作成など、仕事の一部をAIがこなすようになるかもしれません。ただし、現状AIができるのはあくまで、指示にもとづいたアウトプットを出すことです。作りたいものや解決したい課題を言語化してAIに指示を出すのは人間の役割ですし、AIがアウトプットしたものの良し悪しを判断するのも人間です。クリエイターの仕事がすべてAIに取って代わられることはないでしょう。

クリエイターがAIを活用することで、単純作業を効率化し、クリエイティブの品質向上に繋がるアイデア出しや情報収集、新しい技術の習得などに時間をかけられるようになるというメリットが期待できます。そして、企業が求めているのは、仕事の背景理解や、観察にもとづいた深い洞察、クリエイティブを用いた問題解決など、AIにはまねのできない領域で能力を発揮できるクリエイターです。AI活用の可能性にもアンテナを張りながら、腕を磨いていってください。

クリエイター転職に強いマイナビクリエイター

この記事では、クリエイターの定義と概要、さまざまなクリエイター職種とその仕事内容、クリエイターを目指すために役立つ情報などについて、Web/IT業界やゲーム業界を例に解説してきました。クリエイターは、世の中にない新しいものを創り出したり、今ある課題をクリエイティブで解決したりする、魅力的な仕事です。そして、コロナ禍以降の巣ごもり消費によるゲーム需要の高まりや、スマートフォンの普及による一般消費者向けのWebサービス増加などを受けて、クリエイター人材の需要は増加傾向が続いています。

マイナビクリエイターは、Web・ゲーム・IT業界に特化した、転職支援サービスです。経験豊富なキャリアアドバイザーが個別カウンセリングを行い、ポートフォリオなどの応募書類の添削や面接対策など転職活動全般をサポートします。未経験からクリエイターへの転職や、クリエイターのキャリアアップに向けた転職をお考えの方は、一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。

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